研究課題/領域番号 |
18592324
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
國澤 尚子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (20310625)
|
研究分担者 |
亀沢 幸雄 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (80122969)
新村 洋未 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (70315703)
小笠原 祐子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (80404929)
佐野 恵美香 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助手 (10404930)
|
キーワード | 看護技術 / 注射器内筒 / 汚染 / 注射器内圧 / 技術習得 |
研究概要 |
無菌的にアンプルの薬液を吸い上げるため、教育機関では注射器内筒への手指接触とアンプルカット面への注射針の接触を不可としているが、臨床では厳守されていない。そこで、これらの無菌操作の必要性を検証する。まず、内筒への内筒への手指接触による薬液汚染の有無を調べるため、病院勤務している看護師51名と臨床検査技師の学生・教員39名に手洗いをしない手指で普段実施している方法でバイアル内のTS液状培地を5回ピストン操作してもらった。1人3〜6本の10ml注射器各を使用し合計423バイアル実施した。37℃で10日間培養し経時観察した。2名(2バイアル)で細菌の増殖が確認された。分離培養の結果1つのバイアル(1名)からは3種類のコロニーが検出された。コロニー性状は異なったが、2種は表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)と同定された。1種は表皮ブドウ球菌の類似菌(Staphylococcus capltis)であった。もう1つのバイアルからは1種類のコロニーが検出され、同定の結果、Brevibacterium spp.(Coryneform)と確定された。細菌の増殖が認められた被験者の注射器把持方法に特異性はなく、多くの被験者は内筒に手指を接触させていた。検出された細菌はいずれも皮膚常在菌であり、検出率はひじょうに少なく病原性は低いと思われるが、内筒の付着細菌が薬液内に移行する可能性は否定できない。注射器操作をする前に衛生学的手洗いまたは消毒を厳守することで、手指接触が原因による薬液汚染を低減することができると考える。次に、アンプルの切り口の汚染の有無を検証するため、梱包された状態のアンプル5箱から各10管合計50管(20管は個別包装)を選び、アンプル頚部の外壁を無菌生理食塩水に浸した滅菌綿棒で拭き取り、綿棒をTS半流動培地で培養した。ガラスアンプル2管、プラスチックアンプル1管から、各1種類のグラム陽性球菌が確認された。同定の結果、コロニーは3種ともMicrococcus spp.であった。個別包装されたプラスチックアンプル20管は全て陰性であった。検出された細菌は生活環境に広く存在しており、アンプルを使用する直前にアルコール綿で頚部を消毒することにより除去することが可能である。特にプラスチックアンプルは構造上、頚部の消毒が困難であり、切断面のプラスチック繊維の不定形な突出が見られるため、消毒方法や保管方法の工夫が必要と考える。
|