研究概要 |
本研究は,ワーク・アビリティ・モデル(Work Ability Model)を枠組みとして,看護職者の労働能力を改善する方略を考案・実施・評価・整理することで,看護職者の労働能力を把握・改善するために有効な方法を開発することを目的としたものである. われわれは,これまで働きやすい職場づくりをめざすA大学病院の看護部長,師長等有志とともに看護職者の労働能力を高めるための管理・教育的介入を行い,ゆとりを産み出す複数の方法を開発したが,改善の有無と程度は部署により異なっていた.(16・17年度研究) このため本研究においては,特に看護組織全体としての管理的介入とその周知を工夫し強化する視点からこれまでの活動を評価し,ビジョンの再構築を図った.しかし,新たなビジョンを描くことが困難であった.これは,本研究の看護部における位置づけと意義の確認作業が不足していることによると推測され,本研究の意義を再確認し,今後の活動の可能性を探索する作業を行った. これにより,管理的介入としては,部署の特徴に応じた方法での工夫と,看護組織全体としての方策が必要であることが整理された.また,具体的活動課題として病棟間のコミュニケーションを強化していくこと,フィールドにおける本研究の運営の仕方を明確にすることを提示することができた. しかし,平成19年度に看護部組織の構成変更があり,めざす理念についても再構築が行われたため,本研究の活動基盤が失われた形となった.このため,これまでの活動評価のため主としてワーク・アビリティ・インデックス(Work Ability Index)による調査を行い,フィールドでの活動を終了した. 調査結果からは,16年度に比べて改善傾向が認められていた18年度のWAIが,19年度において16年度と同様の得点を示し,本活動が総合的なワークアビリティに及ぼす効果は不明であった.(786字)
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