研究の目的は、医療関連職種が、患者にとって必要な情報はどのようなものだと認識し、患者から収集しているか、どのようにその情報を医療サービスの活用しているのか体制と教育の観点から、その実態を明らかにすることである。本年は、前年度までの成果をもとに作成し、洗練した医療従事者に対する教育プログラムを実施、評価を行った。 本教育プログラムは、先行研究で医療関連職種が患者情報を得、共有するにあたっての課題を明確にするとともに、JCAHOの評価を受けている質の高い2つの病院での情報収集、基礎研究をもとに作成を行った。教育プログラムの項目は、I.医療者の患者の情報の認識の実態と課題、II.効果的な患者情報の医療者間での共有、III.患者のヘルスリテラシーを考慮した情報提供の方法と評価、IV.患者中心性の医療実現のための課題、である。教育プログラムの実施期間は、平成20年10月から12月であり、2回/月、3時間/回実施した。対象者は、都市部にある中規模病院の中堅以上のスタッフ20名。方法は、基礎的な知識については、講義を実施し、実際に現場で使用している記録、システムなどを持ち寄った演習、ビデオを活用した医療コミュニケーション教育などを組み込んだ。当日、参加できなかった人のために、ビデオを撮り、教材として活用した。実施後の受講生の評価は、実施前後での知識量の変化を質問紙を用いて調査をし、参加者によるフォーカスグループインタビューを実施し、そのプログラムを通して学んだこと、他職種に焦点をあてて実施したプログラムの効果などを質的に分析を行った。今回のプログラムは、都市部の中規模病院で実施し、評価したものであり、一般化するためにはさらに洗練をしていく必要があると考えられた。
|