1.総合周産期母子医療センターの医師に対する倫理問題と対応の調査 22名からの回答(回収率36%)があり、男性16名(73%)、女性6名(27%)で、平均管理者経験年数9.7年であった。倫理問題が生じたときの対処について、ルール化されているところは3施設(13.6%)で19施設(86.4%)にはルールがなかった。ルールがあると回答した施設は、センターの全員が出席するカンファレンスの開催、重篤な疾患を持つ新生児と家族の医療スタッフの話し合いのガイドラインの利用、倫理委員会への報告であった。倫理問題をマネージメントする部署は「倫理委員会13施設(59%)」、「医療安全対策部1施設(5%)」で、9施設(42%)は回答がなかった。一昨年の1年間に倫理コンサルテーションを必要とする事例があった施設は9施設(40.9%)で、その事例は「重度脳内出血児の治療方針」、「(18トリソミー+複雑心奇形+食道閉鎖症+小脳低形成+超低出生体重児)の治療方針」、「低肺形成+横隔膜ヘルニア+低出生体重児」、「致死的でない染色体異常の治療拒否」、「エホバの証人の両親から生まれた、在胎31週、988gで出生、髄膜瘤がある新生児の輸血の拒否」、その他(略)である。調査から下記5点明らかになった。1)倫理問題が生じたときに対処の方法(ルール)を定めている施設は3施設。2)一年間に倫理コンサルテーションを必要とした施設は9施設。3)倫理コンサルテーションの事例は親による治療拒否がほとんどであった。4)倫理問題が発生したときの解決手段は、多くの施設は科内で実施されるカンファレンスで決定され、倫理委員会が最初から関わる施設は2施設。5)倫理問題解決時に家族を加える施設は4施設。 2.医師2名看護師3名へのインタヴュー結果については分析中である。
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