研究課題/領域番号 |
18592334
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
會田 信子 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (80291863)
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研究分担者 |
齋藤 加代子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (90138834)
千代 豪昭 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (20098536)
尾岸 恵三子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (30141229)
久米 美代子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (70258987)
柳 修平 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (30145122)
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キーワード | 大学院 / 遺伝カウンセリング / 教育方法 / 模擬患者 / 市民 |
研究概要 |
【目的】本研究の長期的目標は、学生の成長のみでなく、市民の遺伝子医療や遺伝カウンセリングの理解を深め、市民と医療者との真の相互理解を図りながら倫理的・法的・社会的問題に伴う望ましい遺伝子医療のあり方について共に考え共有していく専門職教育で、市民と協働作業的に行う遺伝カウンセリング演習のあり方を構築することにある。本年度は模擬患者(SP; Simulated Patients)を導入した遺伝カウンセリング演習を実施し今後の課題について検討した。【方法】クライエント役にSP3名、臨床遺伝専門医役に本学医学部大学院生2名、非医師遺伝カウンセラー役にお茶の水女子大学大学院生2名、市民オブザーバー2名、医療者オブザーバー3名の協力を得た。SPは事前に遺伝カウンセリングや疾患、事例理解のために研究者との打ち合わせや自己学習を行い参加した。扱ったテーマはデュシェンヌ型筋ジストロフィーで、保因者診断と出生前診断の2場面であった。評価は形成的評価で実施した。【結果】演習終了後の質問紙・5件法による20名(大学院生4名,参加者16名)の学習目標に対する到達度の平均点は、「SPとオブザーバーの役割が理解できる」3.95点、「専門職者として自己の振り返りができる」4.5点、「自身の臨床実践に対する演習の有用性」4.7点であった。自由記載内容では、学習態度への緊張感や臨場感、SP導入の意義(市民の考えや気持ちの理解、クライエントの視点から医療者にフィードバックできる)などがあった。SPと市民オブザーバーの感想には、遺伝カウンセリングへの理解の深まりのほかに、倫理的葛藤を生じる場面設定への希望などがあげられた。SPからは演技に伴う心理的葛藤が表出された。【結論】SP導入した演習は、学習者の省察的実践への動機づけや専門職者としての自発的な学習態度形成、および市民の遺伝カウンセリングの理解などにおいて有用であることが示唆された。課題として、模擬実演環境の整備と模擬実演に伴うSP役市民の精神的負担への支援があげられた。(798字)
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