研究概要 |
日本文化の中で「安楽」問い直し、ケアの視点からの「安楽」の概念を明確に促えることは看護の質の評価にも役立つものと考えた。倫理的な配慮は東京女子医科大学の倫理審査を受けた。 これまでの臨床の看護職者へのインタビューや事例などの質的調査から「安楽」を構成する要素は、「体が楽」「気持ちが穏やか」「自己決定の範囲拡大」「生活の再構築」「セルフケアの自律」「生活の拡大」の6つの要素が明らかになった。これら6つの要素の裏づけをする為に量的な調査を試みた。プレテストでは6つの要素に97質問項目を設け、SPSSで因子分析(プロマックス回転)を行った。その結果、「安楽」を構成する要素は「体が楽」「気持ちが穏やか」「自己決定の範囲拡大」「セルフケアの自律」であった。これを確認するために、平成19年11月〜平成20年1月に対象2.832名に調査をした。質問項目は精選した65項目、評点は4段階とし、因子分析を行った。 結果及び考察:調査の結果、有効回答は1,376名48.6%であった。質問紙の信頼性は、α係数>0.80以上、標本の妥当性は、Bartlettの球面性の検定結果、およびKMO(Kaiser-Meyer-Olkin)値は0.9以上であり、信頼性と妥当性は確保していた。下位因子の平均は2.16〜3.55であった。「体が楽」「気持ちが穏やか」「自己決定の範囲拡大」「セルフケアの自律」の要素毎に因子分析を試みた結果、4つの要素は次の因子に分類できた。「要素I体が楽」は日常生活への援助・痛みの緩和、「要素II気持ちが穏やか」は、穏かな生活への支援、安心への支援、入院環境の調整、「要素III自己決定の範囲拡大」は検査や処置の説明、自己決定の範囲拡大への支援、「セルフケアの自律」は生活の構築への支援、日常生活の拡大への援助、自律への援助であった。これらが看護実践者の考える「安楽」を示していた。
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