研究概要 |
昨年度より5回にわたるDonor Conception(以下DCとする)に関する問題を開催(医師・看護師・カウンセラー・社会福祉士・研究者・不妊当事者)し,参加者全員に,DCを選択するカップルへの支援のあり方についてアンケート調査を行った。 その結果,少なくとも治療開始前に,「『子どもの出自を知る権利』について,さまざまな方向から検討する視点を持つこと,将来生まれるであろう子どもに『告知する』という選択もあるということを伝えることは重要である」という結論から,日本版家族形成のためのプログラムを開発した。 具体的には,医学的・社会学的情報提供者として,DCを熟知した研究者,医師,看護師,カウンセラーを,家族の発達・発展にともない直面する課題の報提供者として,養子縁組をした親の自助グループ(絆の会),非配偶者間工授精で親になった人の自助グループ(すまいる親の会),非配偶者間人工授精で生まれた人の会(DOG)を情報提供団体として設定した。また,参加者が自由に思いを述べ,同じ立場の人の意見を聴くなど,参加者が互いに知り合う機会として,男女別のフリートークを設定した。 上記プログラムを,DCを検討している,あるいは実施中のカップルを対象に実施し,実施前後の「不安」,「自尊感情」,「孤独感」,「子どもへの告知について」質問紙調査を実施した。その結果、プログラム参加後の不安は女性のみが有意に低下した。生まれた子どもへの告知に対する態度は,男女とも「告知すると思う」が有意に高くなった。しかし,「自尊感情」や「孤独感」には変化がみられなかった。
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