本年度は、調査データの分析が主な活動であった。脳ドック学会登録施設およびインターネット上で検索可能な脳ドック開設病院の看護部長を通じ、管理的観点から脳ドック診療に関わる看護活動の現状と今後のあり方に関する質問紙調査の分析結果は以下のとおりである。なお、この調査の結果は看護系学術集会で発表した。 結果:調査対象は501施設看護部長へ調査を依頼、115施設(回収率23%)からの回答をまとめた。 1、脳ドット開設形態は単独開設が全体の5%、健診部門との併設が51%、一般外来との併設が37%であった。 2、看護体制として看護師の配属は71%に以上っているものの、「専属」はわずか4%にとどまっていた。さらに25%の施設では看護師の配置もされておらず、事務担当者や検査技師のみである施設は51%てあった。その理由として、<人員不足><検診者数が少ない><専門的必要性の否定>というものであった。 3、看護ケアの現状(看護師を配置している施設)は、<安全安心でスムーズな健診の保障:説明、誘導、手続き><問診:情報確認、生活指導><診療補助:計測、検査、診察>であり、 4、今後の活動展望:看護師の配置や関わり方は、専門性を発揮し、個別的、主体的、積極的に関わるために<専属配置の奨励>と<看護職によるプライマリーケアの充実>の必要性が示された。役割期待は<健診後の継続的保健指導><無症候性患者の心と身体のケア><脳卒中予防対策の啓蒙活動と健康相談><医療者間連携強化の調整>であった。 考察:脳ドック診療で勤務する看護師は、他の診療補助業務が兼務となることが多く、脳ドック診療における看護活動は全体として質的に充実しているとはいえない現状が明らかになった。また一般的健診業務との相違を明確にしにくいものと思われた。しかし、今後の展望には、無症候性患者への看護ケアの必要性も含め、健診結果によって生じる看護へのニードに関心が示されたことは、今後脳卒中予防医療における看護の役割の明確化、看護ケアシステムの確立への示唆をなる。 今年度は調査データの一部を分析するにとどまっているため、今後もさらなる看護活動の詳細を個人面接の分析内容と合わせて統合的にみていく必要がある。
|