初年度である平成18年度は、健康アセスメント尺度作成の基礎段階として、アセスメント尺度原案の作成と予備調査を行った。文献検討と先行研究から質問項目を抽出し、研究者間で検討を重ねた。質問項目は、基本的属性と現病歴のほかに、身体的・精神的・社会的側面から健康を捉える項目を準備し、総項目数89項目の原案を作成した。母性看護学などの専門家による内容妥当注の検討と、プレテストにより、内容のチェックを行ったのち、中学生男女341名を対象として、第1回目の調査を行った。この89項目を因子分析した結果、7つの要因が導かれた。それらを「家族機能」「メンタルヘルス」「機能的健康」「体力」「生活習慣」「人的サポート」「セクシュアリティ」と命名した。また健康を測定するにあたり、原案として作成した尺度の並存妥当性を検証するため、主観的健康観と子ども版QOL尺度を用いた。これら7つの要因と主観的健康観、QOLの間には相関が見られたが、相互の関係性についての分析は今後さらに進めていく予定である。今年度集積したデータのうち、子どもたちが健康であるいう認識の規定要因について、主観的健康観を従属変数とし、因子分析で得られた7つの要因を独立変数とする重回帰分析を行ったところ、男女別による差異が認められた。すなわち、男子と女子では健康と認識することの影響要因が異なる可能性が示唆された。 今後は、原案とした尺度の信頼性および安定性検証のための多数調査によるデータの集積および再調査を進める予定である。
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