近年、社会状況の変化に伴い、若者の生活行動は大きく様相を変え、これに伴う健康への影響が懸念される。そこで本研究は思春期の健康状態を包括的、かつ簡便にアセスメントできる尺度を作成することを目的とした。 まず、質問項目の原案を作成することを試みた。健康に影響する要因としてPenderによる個人の健康アセスメントの枠組みを準用した。そのアセスメント要素である9つの要因と、研究者がこれまで行ってきた思春期の健康に関する調査項目、さらに既存の文献を基にして思春期の健康に影響する独自の3要因を加え、12要因89項目からなる概念枠組みを作成し、これらの要因に基本的属性を加えた原案を作成した。研究者間で検討を重ね内容妥当性を検討し、予備調査を経て、地方と都市部の2校の中学生に対して調査を実施した。また健康を測定するにあたり、原案として作成した尺度の並存妥当性を検証するため、主観的健康観と子ども版QOL尺度(KINDL)を用いた。 IT分析により相関の低い項目を削除した後、因子分析を行った結果、9因子が導き出された。これらを「サポーティブな家族」「メンタルヘルス」「体調不良」「体力不足」「外交性」「短絡的行動」「健康対策」「規則正しい生活」「セクシュアリティと嗜好」と命名した。再テストによるそれぞれの因子の反復信頼係数は高く、安定性が確認された。また性差による比較および地方と都市部のデータを比較し、ほぼ似通った因子構造であることを確認できた。さらに下位項目において、性差、地方と都市部による特徴が見出された。
|