研究概要 |
本研究の目的は,若年(30歳未満)子宮頸がん患者がどのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを,半構成的面接法によって得られたデータを質的帰納的に分析することで明らかにし,明らかになった意思決定過程において必要と考えられる看護実践内容を抽出し,若年子宮頸がん患者の初期治療に対する意思決定過程を支える看護実践モデルを構築することである。 平成20年度は,平成19年度中に得られた9名の対象者からのデータを分析し,初期治療までの意思決定過程を明らかにした。その結果,対象者は,一旦初期治療すなわち手術を受ける決意をしても,その後本当に大丈夫だろうかと心配になる場合があり,しかもその心配を医師には相談できず,1人で抱え込み,インターネット等の手段で解決しようとしていた。さらに,子宮頸がん罹患により,この疾患が性感染症との認識をもつ場合は,「遊んでいる女」とレッテルを貼られ,偏見の目でみられることを恐れ,他人に相談できない状態に陥っていた。自分流の解決を試みても結局心配事を解決できない場合は,子供を産みたい,ならば医師の勧めに従うしかないと考え手術決意をしていた。この結果より,次のような看護実践モデルを提言する。看護実践モデル(1)患者個々の意思決定内容を確認する。看護実践モデル(2)患者個々の決定を支持しつつ,決意の揺らぎや疑問が生じたときには,いつでも外来へ電話して良いと伝え,相談に応じる。看護実践モデル(3)特に,がんの再発・転移,術後の流産の可能性およびその他疑問に思うことについては医師に直接聞いてよいと伝え,また自分で聞ける力がつくよう支援する。看護実践モデル(4)自由に看護師に相談できる窓口を婦人科外来とは離れた場所に設置する。看護実践モデル(5)看護師による電話相談のシステム(かける・受けるの双方向)を作り,広報し活用を促す。特に,医療費について相談にのる。
|