本研究は、女性の続発性リンパ浮腫患者に対して、効果的かつ具体的な看護介入方法の示唆を得て、外来における継続看護システムを構築することを最終目的としている。 平成18年度は、婦人科がん術後におこったリンパ浮腫患者4名に対して複合的理学療法を用いて介入を行いデータを収集した。対象者は、大別して、乳癌術後の上肢リンパ浮腫と子宮癌術後の下肢リンパ浮腫を起こしている者であり、リンパ浮腫の病期はII期であった。複合的理学療法による介入開始後約6ヶ月経過した中、周囲径の変化と皮膚の軟化による自覚症状の改善を訴える者が多いことがわかった。特に、自覚症状の改善は著しいため、医学系学会誌である「山口医学」へ報告した。また、患者ケアの質を向上させるためにも看護部門への認知を広めることが重要であると考え、看護協会系の研究発表会において口演した。 本研究の介入方法とした複合的理学療法とは、リンパ浮腫治療の第一選択とされている保存療法であり、欧米においては本療法による治療成果に関する報告が多く行われているが、本邦における報告は少ない。よって、本研究は、リンパ浮腫の身体的変化(周囲径、循環器系の変化など)に関するデータを収集すると同時に、自覚症状や生活の質(QOL)の変化に関しても測定道具を用いてデータを収集していることを特徴とする。但し、QOLの変化に関しては、まだデータ収集の途中であり、結果は未だ明確でないため、今後も対象者を募集し、より多くのデータを蓄積することにより分析していく予定である。
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