研究概要 |
【目的】1.膠原病患者において、ストレス適応系としての神経・内分泌・免疫系の機能異常の有無について検討する。2.ストレスマネジメントを含むセルフマネジメント・プログラム介入を行い、その効果について検討する。【方法】膠原病患者36名(強皮症(SSc)17名、関節リウマチ(RA)9名,全身性エリテマトーデス(SLE)10名)及び健常者38名に対して、計算ストレス負荷前後における血清中の種々の神経・内分泌・免疫系活性物質を測定し、ストレス関連QOLの調査を行った。また、膠原病患者7名(SSc1名、SLE5名、シェーグレン症候群1名)を対象に介入前後での血清中の種々の神経・内分泌・免疫系活性物質を測定し、ストレス関連QOLの調査を行った。【結果】1.膠原病患者では、すでに負荷前の状態においてコルチゾール値が有意に高く(ステロイド投与との関連なし)、また負荷後に健常人でみられるような有意な上昇がみられなかった。アンケート調査では、膠原病患者は身体面での健康度が低く、日常のストレスやストレス対処能力は健常人とほぼ同じレベルであった。ただし、SLEにおいては日常のストレスは健常人よりも強い傾向がみられた。 2.介入後に疼痛緩和効果を持つ神経系活性物質の増加や炎症反応を反映する内分泌活性物質および免疫系活性物質の低下が認められた。また、身体的健康度(QOL)の改善、病気とうまく付き合うことができるという自信(自己効力感)の改善が認められた。【結語】膠原病患者はストレス適応系としてのHPA-axisに歪みを生じている可能性がある。また、介入により神経・内分泌・免疫系活性物質やQOL、自己効力感の改善がもたらされる可能性が示唆された。
|