研究概要 |
国内4ヵ所の産科施設を受診した妊婦616人に対して,妊娠期からの子ども虐待リスクスクリーニング調査を実施し,スクリーニング方法の効果を検証した。スクリーニング調査は,独自に開発したスクリーニング用紙(以下M式リスク調査),花沢式対児感情尺度,エジンバラ産後うつ病自己評価表(以下EPDS)を妊娠期から産褥1ヵ月の間に行った。助産師がハイリスクケースと認識し,他機関等と連携したケース(以下ハイリスク群)は61人(10.3%)であった。分析は,ハイリスク群(以下HR群)とローリスク群(以下LR群),EPDS高得点群(9点以上)・低得点群(8点以下)に分類し,M式リスク得点,花沢式対児感情尺度得点について有意差検定を行った。 HR群のM式リスク得点の平均( () 内LR群)は,妊娠期**1.9(0.8)・出産期*2.3(1.4)・産褥期**0.7(O.2)・合計**5.0(2.4)となっており,いずれもLR群に比較して有意に高かった。(*p<0.05,**p<0.01)EPDS高得点群とM式リスク得点の平均( () 内低得点群)の比較は,妊娠期***1.4(0.8)・出産期***2.2(1.4)・産褥期***0.5(02)・合計***42(2.4)となっており,いずれも低得点群に比較して有意に高かった。(***p<0.001) 対児感情尺度得点の平均は,HR群の拮抗指数得点は27.5であり,LR群の23.5に比較して有意に高かった。(*p<0.05>さらに,EPDS高得点群においては,回避得点**8.7(6.3),拮抗指数**32.6(23.0)( () 内低得点群)となっており,低得点群に比較して有意に高かった。(*p<0.05,**p<0.01) 以上の結果から,本研究におけるスクリーニングの方法は,妊娠期からの子ども虐待におけるハイリスクケースのスクリーニングに有用であると考えられた。
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