研究課題/領域番号 |
18592373
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡部 節子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80290047)
|
研究分担者 |
坂梨 薫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (60290045)
高島 尚美 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (00299843)
五木田 和枝 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (40290051)
武田 宜子 国際医療福祉大学, 大学院・医療福祉学研究科, 教授 (40197322)
|
キーワード | 人工股関節全置換術 / 手術前処置 / 手術部位感染 |
研究概要 |
本研究の目的は我が国の多くの施設が採用していると思われる人工股関節全置換術(THA)の手術前処置がEBMに基づく米国疾病管理予防センター(CDC)の「手術部位感染防止ガイドライン」や日本整形外科学会による「大腿骨頸部骨折診療ガイドライン」において推奨される方法とは異なることを受けて、この手術部位感染(SSI)に対する有効性と費用対効果を検証することである。 今年度はTHAの術前処置に関する下記の2点を実施した。 (1)文献レビューについて;データベースは医学中央雑誌(第4版)、J dream II、Pubmed、CINAHL、The Cochrane database of Systematic Review(いづれもWeb版)を使用し、検索語は和文献は整形外科・人工関節・人工股関節とし、下位に感染予防・術前処置・剃毛・ブラッシング・被覆の5語を配した。さらに集載誌名毎に下位の5語を検索語とし、各検索語とTHAと掛け合わせた。英文献はpreparaton/antisepsis/disinfection/SSI/SSSI/DI/brushing/infectioncontrol/shaving/skin preparationのそれぞれにTHAを掛け合わせた。disinfection/antisepsis/preparaton/shavingの4wordsとorthopedicを掛け合わせた。 (2)手術前処置の実態を全国規模で明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査用紙は自作質問用紙で、対象は国内200床以上で整形外科を有している1967施設とし、事前に調査目的・方法を記載した葉書で調査協力の有無を確認し、了解を得られた701施設に調査用紙を発送した。その結果、622施設より回答が得られ、そのうち618が有効回答であった。術前の清潔に関しては612施設(99%)が実施しており、その方法として入浴やシャワー浴が324施設(52.4%)と最も多かったが、CDCが推奨している消毒剤によるシャワー浴は36施設(5.8%)と少数であった。手術前の剃毛や除毛については実施しない施設390(63.1%)と最も多く、実施する場合は手術前日の昼が最も多く、154施設(24.9%)であった。また、実施する場合は電気バリカンが79施設(12.8%)と最も多く、そのほとんどは看護師が実施していた。皮膚消毒については手術室で実施する施設は367施設(59.4%)と最も多い一方、病棟と手術室で行う144施設や2回以上実施する施設が34施設(5.5%)あった。また、皮膚消毒時に使用する材料としてガーゼが最も多かったが、ブラシを使用している施設も21施設(3.4%)であった。尚、平成11年に関西・中部・関東地区を対象にした同様の調査に比較してCDCが推奨している方法に近づいていることが明確になった。 今後は術前処置に関してCDCが推奨する方法群と従来の方法を実施している施設の2群間でSSIの発生率に統計学的に有意差がないかを明らかにしていく予定である。
|