昨年にインタビューを終えた28名の糖尿病患者のうち、糖尿病歴が20年以上の男性9名について分析した。平均年齢68.44歳、糖尿病歴20年〜35年、平均28.22年、HbAlc5.8〜9.8%で平均7.5%、治療状況はインスリン注射4名、血糖降下剤4名であった。全員が合併症に罹患し、7名が動脈硬化症による心筋梗塞または狭心症によりCABGまたは心カテによる治療(PCI)、または下肢の障害により血管の手術を受けていた。網膜症は5名、腎症は5名であった。 インタビュー内容を分析した結果、症状がないから「病気とは思えない」「自覚できない」、糖尿病はいのちに影響しないという「糖尿病に対する甘い見積もり」があった。合併症については、根拠はないが「自分は大丈夫と言う思い」「周囲の誘いを断れない」「わかっていても続けられない」運動や食事療法をずるずると先延ばしにしていた。そして、ある日突然の自覚症状として合併症が現れ「放置したことに対する後悔の念」を持つ。合併症によって、漸く糖尿病は恐い病気であると言うことに気づき「合併症にたいする強い不安」「次々に押し寄せる合併症に苦しむ」にもかかわらず、9名のHbAlcの平均値が7.5%と示すように、血糖をコントロールするという努力にはなかなか繋がり難いことがわかる。ほとんどの人は、「家族の支えと協力」が重要であると述べていた。また、全員が食事に対し常時「強い制限感」を感じ、「食べ物のことが頭から離れない」「制限されることなく飲み食いしたい」と思っていた。
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