20年度は、作成した支援モデルに基づき支援を実践し、モデルを検証することであった。前段階の研究結果から20年以上の長期療養を続ける対象者は一つ以上の合併症を必ず抱えている。そして、20年以上の男性患者のインタビューの分析が【しぶしぶ続ける治療】【血糖値を見つめる生活】【孤独な療養生活】【恐怖の合併症体験】【妻や医療者への依存】の5カテゴリーが示すように、現状の治療に満足していない。また、糖尿病の恐ろしさを感じているが、概して血糖コントロールは厄介だと思い、HbA_1Cは高い傾向にあり、コントロールに苦慮していた。血糖値をみては、食事や運動を調節する努力をしてはいるが、妻や医療者に依存している傾向も強い。しぶしぶ治療を継続しつつ、食事制限による強い飢餓感を抱え、合併症の恐怖を感じ孤独な療養生活を体験していた。 循環器病院内で支援を試みているが、循環器病院の性格上、循環器系の合併症を抱えコントロールの難しい対象者が多い。また、福井と言う地理的条件から冬場の雪、長期療養と言うことから高齢者が多いなど、冬には外出が困難となり運動不足になり血糖のコントロールが困難な人が多い。長期療養者には循環障害による足障害を起こしやすいなどの特徴がある。その上、食事や運動は、聞き飽きているという患者も多く、指導の工夫としてフットケアを介して、何回もの対話により生活状況や食事、運動の仕方を探り、生活上の問題を整理した。血糖コントロールに必要な内容を患者自身が理解し意思決定できるよう支援してきた。また冬場に実施できるいつでもどこでもできる筋肉トレーニングを指導している。検査結果を整理し、血糖コントロールに良い影響が見られている。
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