研究概要 |
1.研究目的 本研究は、がん疼痛に対する治療を受けている患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度を開発することである。本年度は平成18年度に行った「がん疼痛をもつ患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度」原案の信頼性、妥当性の検討を踏まえてさらに尺度の精錬を行った。 2.研究方法 平成19年10月〜平成20年3月に西日本の病院に入院中または外来通院中のがん疼痛があり薬物治療を行っているがん患者を対象として、質問紙の配布を行い郵送法にて回収した。調査では、平成18年度調査をもとにして項目の修正を行い50項目版の尺度を用いた。調査施設並びに研究者の所属する施設の倫理委員会で審査を受け、承認を受けた後に調査を行った。 3.研究結果 1)20箇所の病院で配布し、257(回収率57.4%)の返信を得た。有効回答は248(96.4%)であった。 2)尺度の信頼性の検討-尺度得点と下位尺度得点から信頼係数を求め、内的整合性を検討した。尺度の信頼係数は、Cronbach'sα=0.93であった。 3)基準関連妥当性の検討-外的基準に「壮年期の慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙(SCAQ改訂版)を用いた。SCAQと本尺度は中等度の相関(r=.52,p<.001)であった。 4)構成概念妥当性の検討-仮説検証法を用いた。「がん患者の自己効力感尺度」の得点と本尺度の得点は、弱い相関(r=.21,p<.05)が見られた。5)因子分析では、10の構成概念が明らかになった。 4.今後の課題 「がん疼痛をもつ患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度」の信頼性、妥当性は支持されたが、臨床での活用に向け、さらに尺度の精錬が必要である。
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