研究概要 |
1.研究目的:本研究は、がん疼痛に対する治療を受けている愚者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。 2.研究方法:1)「がん疼痛をもつ患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度」の原案はがん疼痛を持っ患者とケアを提供している看護師の面接調査と文献検討に基づいて作成し、下位尺度の明確化と質問項目の抽出のためのパイロットテストとプレテストを経て、50項目で構成した。2)対象者:西日本の病院に入院中または外来通院中のがん疼痛があり薬物治療を行っているがん患者。3)方法:自己記述式の質問紙配布を行い、郵送法にて回収した。4)倫理的配慮:調査施設並びに研究者の所属する施設の倫理委員会で審査を受け、承認を受けた後に調査を行った。 3.研究結果:1)21箇所の病院で配布し、260(回収率58.0%)の返信を得た。有効回答は251であった。 2)尺度の信頼性の検討-尺度得点と下位尺度得点から信頼係数を求め、内的整合性を検討した。尺度の信頼係数は、Cronbach's α=0.93であった。 3)基準関連妥当性の検討-外的基準に「壮年期の慢性病者のセルフケア能力を査定する質問紙(SCAQ改訂版)を用いた。SCAQと本尺度は中等度の相関(r=.58,p<.001)があり、本尺度の妥当性が支持された。 4)構成概念妥当性の検討-因子分析を用いた。因子分析では、7の構成概念が明らかになり、因子の妥当性も確認された。因子分析の過程において5つの質問項目が削除され、最終的に質問項目は45項目となった。 4.今後の課題:「がん疼痛をもつ患者の症状マネジメントに関するセルフケア能力を測定する尺度」の信頼性、妥当性は支持されたが、臨床での活用に向け、さらに尺度の精錬が必要である。
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