研究概要 |
1〜3か月前に脳血管障害を発症し入院中の患者と家族(主たる介護者)7事例に、面接を行なった。データ収集した医療機関はA県中山間地域の中規模基幹病院である。当該地域は人口が約15,000人、高齢化率は28.4%である。7事例中5事例は、患者が夫で主たる介護者が妻であった。1事例は患者が母で主たる介護者が長男(独身)あと1事例は患者が母で長女(既婚)であった。患者の平均年齢は76.0歳、介護者の平均年齢は66.7歳であった。患者はいずれも片麻痺や言語障害を後遺症として持ち介護が必要であった。具体的な介入としては、病いを得た患者と家族の苦悩と療養生活の場の決定や療養形態にかかわることについてインタビューをしながら、状況の客観視を促した。また、患者と家族が、今欲しているケアニーズの確認と、事例の面接過程で研究者が必要だと判断した事柄について病棟看護師やケースワーカーと調整を取り対応した。7事例のうち4事例が在宅療養を、3事例が施設入所を選択した。 しかし在宅療養を選択した事例では、高齢者夫婦2人暮らしが多く家族内のサポート力が希薄な中での選択であり「とにかく私がやれるところまで」とか「私が頑張らねば」と言うような介護者の気負いや緊張があり、退院前後に人的・物的に強固な支援が必要であった。一方施設入所を選択した事例では、互いの負担にならないことを願った決定であることから、心理的には落ち着いていたが、経済面等での不安は強まっていた。 この時期における状況の客観視を促しケアニーズを明らかにする介入は、家族の問題解決を促進するうえで効果的な介入となりうるかどうか、今年度は評価指標を用いて、介入効果の客観化を図りたい。
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