研究課題/領域番号 |
18592409
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上野 恭子 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (50159349)
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研究分担者 |
栗原 加代 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (40382816)
西川 浩昭 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (30208160)
山川 百合 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (40381420)
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キーワード | 共感 / 看護師 / うつ病 |
研究概要 |
平成19年度の研究では、平成16・17年度の萌芽研究結果、ならびに平成18年度研究で得られたデータから看護師と入院患者の共感体験の語りの分析を繰り返し、看護師の臨床的共感の操作的定義とこの概念の構成要因の精錬化を行った。その結果、看護師の共感概念の構成要因は、看護師自身の客観的な行為や態度に関する用語を用いて表現することができた。構成要因は6つ抽出された。それは1)「利他的な気持ち」を先行因子として、2)「患者に対する積極的・選択的心構え」、3)「患者の思いの輪郭を把握」、4)「推察内容の確認」、5)「患者の思いを緩和する行動」、そして帰結として6)「わかり合えたという感覚」からなるプロセスであり、各構成要因の形成の促進に関連する要因も抽出することができた。主要な関連要因は、看護専門職としての価値観、看護師の自我の成熟度、過去の類似体験、コミュニケーション能力などであった。これらの要因を含めた共感技術モデルが確立すれば、共感プロセスを促進するための方策が得られ、臨床での看護師の共感は一層効果的に実施されると考えられる。 今年度の研究の目的は、共感技術モデル開発のための「看護師の臨床的共感尺度(仮)」を作成することであったため、各構成要因に対して質問を約10項目ずつ作成し、看護学大学院生や看護学教員の合計20名に質問項目内容と構成要因が一致するかどうかを検討してもらう目的でディスカッションやプリテストを実施し、内容妥当性を高める試みをおこなった。しかしこの妥当性はまだ十分に得られているとは言いがたいため、今後も修正を重ねる必要があることが判明した。修正後、再度内容妥当性を調べた上で、この尺度案を完成させるため100〜200名の看護師を対象にパイロットスタディを行う予定である。
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