目的 地域における独居男性高齢者に対する支援の一方策として、独居高齢者のセルフケアの自立ならびに地域との交流に関する動機付け並びにそれらを見守る地域のネットワークづくりを意図した地域ケアプログラムを開発し、評価することである。 対象 都市近郊農村地域Y地区と都市的地域O地区に居住する65歳以上の独居男性高齢者計22名及び地区活動推進委員の役割を担う地域住民計12名である。研究方法は、本研究班が開発した地域ケアプログラムによる介入研究であり、同プログラムの骨子は高齢者における心の健康づくり、身体の健康づくり(食と栄養)、地域交流である。プログラムの効果評価については、アウトカム(健康管理に対するセルフエフィカシー、地域社会への態度(共同志向)及び地域とのつながりに対する「重要度」「関心度」)並びにプロセスの側面から各々行った。なお、本研究は、横浜市立大学医学部倫理委員会の承認を得た。 結果 独居男性高齢者の概要は、平均年齢75.8(SD=7.3)歳、平均独居年数12.5(SD=11.8)年であり、また、地域住民の概要は、平均年齢61.6(SD=9.3)歳、当該地域における平均居住年数25.9(SD=9.28)年などとなっていた。本ケアプログラムの効果については、アウトカム評価については、独居高齢者における地域とのつながりに対する「重要度」・「関心度」について有意な改善がみられた。また、プロセス評価については、独居高齢者における心情と地域住民との関係づくり、食事・栄養バランスのとれた献立づくり、独居高齢者が住みやすい地域づくりについての具体的な振り返りや示唆を得る対象主体の学習の機会となることが確認された。 結論 独居高齢者のセルフケアの自立ならびに地域との交流に関する動機付け並びに見守りのネットワークづくりを意図した地域ケアプログラムは、地域における独居男性高齢者支援策として一定の意義を有する。今後はプログラム及び評価法の一般化が課題である。
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