研究課題
基盤研究(C)
骨粗鬆症は高齢者のQOLを著しく障害し、骨折を介して要介護老人の原因となる。これを予防するためには、最大骨量をできるだけ大きくすること、その最大骨量を維持すること、閉経後の骨量減少をできるだけ小さくすることである。中でも閉経後の骨量減少を維持し、将来の骨折発生を抑えることは重要な保健課題であり、現在都道府県、市町村で老人保健法の保健事業として取り組まれている。公的保健事業として実施されるので、その有効性は科学的根拠に基づいて証明されなければならないが、根拠に基づいた骨量減少者のスグリーニングとLifestyleの改善を中心とした予防対策を立案するには縦断研究による成果を提示することが必要となる。本研究では地域在住の中高年女性において骨粗鬆症予防の生活要因を、15年間の長期追跡研究によって明らかにし、看護指針を策定することを目的とした。そのために、初年度は山間農業地域と海浜漁業地域において、1990年から現在まで把握している受診者221人に対して15年後の腰椎骨密度の変化と生活因子(生活習慣、栄養摂取状況、運動習慣)、体格・筋力、骨折の既往等を測定し、骨粗鬆症予防効果を検討した。今年度はこれらのデータベースを作成し、骨密度とそれに影響する身長、体重、握力など身体因子、骨代謝に関連する既往歴や薬剤服用歴、骨折既往歴、喫煙習慣、運動習慣、労働歴、栄養素別栄養摂取量との関連を探った。その結果、15年間で牛乳飲用が多い者、納豆摂取が多い者ほど骨密度低下が抑制されている傾向が示された。しかし、運動習慣や喫煙習慣との関連は明らかではなかった。骨折既往歴と骨密度との関連では、骨折あり群ではなし群に比べて骨密度低下は小さかった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (4件)
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