研究概要 |
本研究では,(1)血液検査の結果から自分の健康実態を認識して関心を持たせる教育に加えて,(2)生徒相互での血圧測定実習を通してさらに自分の健康に対する興味関心を引き出し,生活習慣病を自らの課題として捉えさせて,(3)健康意識の変化と健康行動の変容をもたらして適切な生活習慣の確立へと導くことおよび(4)その健康意識の変化と健康行動の変容について追跡調査を行って評価をするという新たな生活習慣病予防教育プログラムを開発することを目的として研究を実施している。 本年度は,(1)平成18年度に実施した児童生徒の健康実態のデータと生活習慣との関連について解析検討し,(2)平成18年度に中学校2年生であった生徒の健康意識と健康行動についての追跡調査,(3)運動負荷前後の血圧、脈拍測定実習をとり入れた生活習慣病予防のための授業を行った。 小学生の肥満児は適正体重児に比べて中性脂肪がやや高値で,HDLコレステロールがやや低値であったが有意差はみられなかった。しかし、中学生では有意差が認められ,小中学生ともに肥満者では「早食い」「満腹するまで食べる」という食事摂取傾向がみられた。また,中学生に実施した安静時及び運動負荷後の血圧、脈拍測定と生活習慣病予防の授業後のアンケートでは,「血圧測定の結果や生活習慣病予防の話を聞いて興味、関心を持った」66.4%(昨年は54.1%),「これからの生活で気をつけようと思うことがある」93.4%(同76.7%)であった。 これらの結果から,安静時に加えて運動負荷後の血圧、脈拍測定実習とその実習を踏まえた生活習慣病予防に関する授業を行う生活習慣病予防教育プログラムは,より自分の健康に興味、関心を持ち,自らの生活習慣を見直し,その改善策を自分自身で見出すことができると考える。今後は生徒の健康意識と健康行動の追跡調査データの解析を行い,適切な生活習慣の確立に向けての継続的な支援活動のあり方について調査検討する予定である。
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