平成21年度は、児童生徒の血液検査等を実施して生活習慣と血液検査結果等との関連について再検討した。さらに、生徒が自分の健康に興味・関心を持ち、自らの生活習慣を見直し、その改善策を自分自身で見出して行動変容につながるように生活習慣病予防教育プログラムを改善し、適切な生活習慣の確立に向けての継続的な支援活動のあり方について検討した。 その結果、血液検査等については、児童生徒の体格とインスリン抵抗性の関連が明らかになった。過体重群では、心血管危険因子のリスク数が有意に増加し、インスリン、HOMA-IRは有意に高値になったが血糖、HbA1cは体格による差はみられなかった。収縮期血圧・拡張期血圧、中性脂肪、尿酸は、過体重群で有意に高値になり、HDLコレステロールは過体重群で有意に低値になった。小児期では体格により血糖やHbA1cの変化はみられないが、過体重者ではインスリン、HOMA-IRが有意に高値になっており、インスリン抵抗性に注意する必要があることが示唆された。さらに、生徒に対する生活習慣病予防教育プログラムを運動前後の血圧・脈拍測定実習に加えて、体温測定と生徒同士の意見交換も加えて実施した結果、授業後のアンケートでは「自分の血圧値に興味・関心を持った」95.3%、「自分の体温に興味・関心を持った」91.9%、「血圧測定等の結果説明や生活習慣病予防の話を聞いてわかったこと、気づいたこと、興味・関心を持ったことがある」70.6%、「これからの生活で気をつけようと思うことがある」85.1%で食生活、運動、睡眠、休養等に関する具体的な改善策を記述していた。さらに、適切な生活習慣の確立に向けての継続的な支援活動のあり方について協働研究者間で検討した結果、学校での生徒に対する保健指導や保健学習を実施することも大切であるが、子どもの生活習慣は、保護者の生活習慣の影響が大きいので、より児童生徒と保護者を主体とした家族の生活習慣病予防教育を展開することの重要性が共通認識された。
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