研究課題/領域番号 |
18592421
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
宇佐美 しおり 熊本大学, 医学部, 教授 (50295755)
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研究分担者 |
西阪 和子 熊本大学, 医学部, 教授 (30160302)
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学, 教授 (10171802)
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キーワード | 精神障害者 / アサーテイブ・コミュニテイ・トリートメント / 地域生活 / 精神看護 |
研究概要 |
九州管内のK精神病院においてGAF35以下、入院3年以上、入退院を繰り返してきた精神障害者で調査に同意の得られた統合調症者10名にアサーテイブ・コシュニテイ・トリートメントを実施し、その評価を入院時、退院時、退院3か月後に病状、日常生活機能、会社的機能、ケア満足度の視点から行い、対照群11名との比較を行った、分析は量的、質的両側面から行った。介入群は入院時から退院時、退院後も病状,日常生活機能、会社的機能変化続け、ケア満足も高く、再入院が皆無だった。これに対し、対照群の病状、日常生活機能、会社的機能の変化はみられず、ケアへの満足度変化がなかった。 また介入内容を質的に分析し、アクトチームの介入内容の妥当性を検討した。介入内容としては、退院後の生活の場での訓練、危機時の対処方法の確認、社会資源との情報交換、訪問と患者の状態の把握、地域生活へ馴染む事への支援患者の意思決定への支援、訪問看護を中心とした生活支援、に分類できたこれらの結果から、ACTを実施することで、再入院は軽減でき、患者の満足度も若干高まるが、病状や社会的機能、日常生活機能は有意ではないが変化し続けるため、退院後継続した支援が必要であることが明らかとなった。また再入院は医療者の意思によって調整することが可能であることも示唆された。さらに海外においてACTのプロトコールは存在するが、今回、実際の支援内容はかなり異なっており、診療報酬などの設定のない日本においては、対象者の特徴、支援内容もチームによって異なり、患者のニーズを中心とした支援よりも、病状中心の支援であることが明らかとなった。今後対象者数を拡大して研究の一般化をはかるとともに、患者のニーズを中心とした支援見直しと支援の一貫性を検討し続けることがちしの必要性が示唆された。
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