研究概要 |
今年度は需要サイドに焦点を当て,離島住民のヘルスサービス利用およびその満足度を規定する要因,ことに地域住民と看護職者とのパートナーシップから明らかにし、看護実践モデルを発展させることを目的とした。調査受け入れ等の再検討から、当初計画の診療所を単位とする標本抽出はせず、属島離島型離島1離島の20歳以上の全住民1410名を対象とした。 対象とした離島30集落のうち6集落で聞き取りによる予備調査を実施した。ヘルスケアサービスの利用やその背景にある考え方も、時代とともに変化してきていること、「素人による相談システム」は重要な機能を有していること、等が明らかとなった。それらを踏まえて、Andersenの行動モデルに基づく研究枠組みを修正した。 本調査は、自記式調査票を用い郵送法により実施した。調査内容は,独立変数については,[素因]として性、年齢、同居家族、健康増進意識、介護経験の有無を、[利用促進要因]として経済要因、かかりつけ医の有無、ソーシャルサポートを、[ニード]として主観的健康感、介護サービス必要感、ADL、IADLを、媒介要因としては患者・住民側とらえる地域(患者・住民)一看護師のパートナーシップ、医療受容度をとりあげた。従属変数にはヘルスサービス(医療サービス、介護サービス)の利用をとりあげた。回収数は775名(回収率55.0%)であった。 年齢が高く、独り暮らしであり、かかりつけ医がいる人ほど医療サービスを利用していた。介護サービスではソーシャルサポート,殊に配偶者間のサポートの影響が示された。介護サービス利用の意志決定には家族が主要な役割を担っていた。アクセスの悪さにより受診が阻害される傾向が見られたが、「看護師は身近な存在である」と感じている場合は、アクセスを促進していた。 昨年の結果同様、需要側からも、「身内/よそ者」は看護実践モデルの重要な要素であることが示された。
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