1.目的 本年度、は、特に経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下、PEG)に絞り、加齢や慢性病による嚥下障害や誤嚥性肺炎の予防等のためにPEGの適用を受けた高齢患者(以下、PEG受療者)に対して、看護実践家がどのようなエビデンスを見出しているのか、その内実を明らかにすることを目的とした。 2.方法 老年看護の専門看護師、看護管理領域を専門とする修士課程修了者が所属している機関であること、2000年以降、PEGに関する調査研究成果を発表している看護研究グループの所属している機関であること、PEGドクターズネットワークに加入している機関であることのいずれか一つに該当することを条件とし、全国4箇所の病院から協力を得た。その上で、協力病院の看護管理者から、看護師としての実践経験が5年以上であり、かつPEG受療者の看護ケアの経験を持ち、この問題に関心を持つと看護管理者が判断した看護師のうち、内諾の得られた者を研究協力者とした。 非構造化面接法により、PEGの効果、PEGの効果が期待できる障害像、PEGによる悪影響やリスク、PEGによる効果が期待できない障害像や禁忌、効果の最大化・リスクの最小化のために行っている看護ケア、の5点を中心に、事例性を織り交ぜながらインタビューを行った。研究協力者は最終的に20名となった。 3.結果の概略現在、分析の途中であるが、以下の点が明らかとなった。 ・パーキンソン病などの難病による適用と、脳血管疾患後遺症や重度認知症による適用とには、適用経過に違いがある。 ・PEGの適用には、本人の障害像以外に、退院や施設入所などの社会的な理由が大きく関与している。 ・PEGの適用効果を見出しにくかった事例として、合併症によりPEGの実用的な使用に至らなかったケース、ほとんど使用しないうちに経口摂取が回復したケース、本人より家族の希望が優先されて造設に至ったケース、長期療養となり家族の面会がほとんどなくなったケースなどの経験が語られていた。
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