1.目的と方法 本研究の目的は、胃瘻を増設した高齢患者に対して、看護師がどのようなエビデンスを見出しているのかを明らかにすることである。調査方法は、看護師に対するインタビューと、訪問看護師に対する質問紙調査である。 2.インタビュー調査の結果 1)胃瘻の導入には、誤嚥や栄養不良のほかに、退院や施設入所などの社会的な理由が関与していた。 2)最も有益な胃瘻の効果は、経口摂取の回復であった。 3)看護師は、術後合併症が重篤なケース、本人より家族の意向が優先されて胃瘻造設に至ったケース、胃瘻造設後、家族が面会に来なくなったケースからは、胃瘻による患者への利益を見出すことが困難であったと述べた。 3.質問紙調査の結果 1)訪問看護師422人中、過去1年間に死亡した胃瘻をもつ高齢者を担当していた者は151人(35.8%)であった。 2)死亡した高齢者のうち65.5%は、訪問看護開始時、すでに胃瘻を保有していた。また、胃瘻造設から死亡まで3年以上に及ぶものが35.8%であった。 3)死亡前1年に見られた身体徴候は、嚥下困難、痰の増加、瘻孔部のスキントラブルが多かった。死亡前1週間では、便秘、発熱、浮腫、褥瘡、拘縮、疾の増加、を認めた。 4.まとめ 看護師が見出している主なエビデンスは、経口摂取の回復であった。しかし、死亡前1年を過ぎると再度、誤嚥肺炎のリスクが高まっていた。以上より、終末期における胃瘻の使用方法を検討する必要性が示唆された。
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