行政保健師と協働した教育・研究活動の事例調査を継続して行った結果、そのプロセスは、協働活動の計画、実施、評価、そして、計画修正、実施という循環しながら発展するサイクルですすみ、実習指導においても教員と保健師との協働がすすみ、実習指導体制が一層整い、学生の実習内容の充実につながるプロセスであった。共同研究のプロセスは、実践の改善を図る方向性を見出すと同時に、保健師がその援助・地区活動の意味を再確認し、学びを得るプロセスであった。このプロセスにおける、保健師と教員との協働関係の構築の方法として、8つの要素が挙げられた。また、このように解決に向けて取り組んだ結果、保健師が認識していた課題の変化として、保健師の実践の質の変化や地域の潜在ニーズを捉え、早期に対応する点における意味が挙げられた。 教員と行政保健師とによる共同研究事例(6例)を分析した結果、共同研究をすることは、保健師と教員間において協働関係をつくりながら、保健師と教員のみでなく、住民サービスの向上や地域の看護職への波及も含めた地域にとっての利点があり、保健師、教員、地域にとって「三方良し」の利点があることが確認できた。 文献検討の結果から、行政保健師が地域の健康課題の解決を図るとは、直面している課題の解決を図るだけでなく、今後も同様の課題が出現したときに解決できるように、継続して実践や体制を改善すること等を確認した。 総括として、看護系大学教員と保健師が協働した教育・研究活動のあり方は、地域へも波及効果があることを確信し、教員と保健師の双方に成果をもたらしていることを認識しながら、また、その成果を双方が活用できるように、活動を計画し、実行、評価、修正し、発展させていくことであると考えた。そのためには、実践、教育、研究活動を連携させていく組織や連携のための基盤(資金等)が必要であることが確認できた。
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