研究概要 |
脳血管障害者に対する訪問看護技術と、その効果の検証に取り組んだ。その結果以下のことが明らかになった。 1.退院・退所から1年以内に訪問看護を利用している脳血管障害者は(神奈川調査)32.7%であった。 2.訪問看護の利用者は介護度5が38%、日常生活判定基準B,Cが約68%、認知症老人の日常生活判定基準はII〜IVが約48%であった。 3.訪問看護目標は再発予防、拘縮予防、合併症予防、看護は観察・評価・調整、教育・指導、精神支援、リハビリテーションであった。これらの実施頻度は介護度によって異なった。要介護3と4はADLの維持と訓練、要介護5は排泄と清潔ケア、家族支援が高かった。 4.以上の結果を受けて、脳血管障害者に対する訪問看護プログラムを作成した。プログラムは脳血管障害者11領域、家族介護者4領域、社会資源活用領域から構成した。 5.在宅療養状態を評価する指標を決定した。評価指標は(1)バイタルサインズ,体重,栄養状態,口腔嚥下機能、(2)JSS-DE(うつ・情動障害スケール)、(3)FIM、(4)Euro QOL(4)介護者疲労(CFSI)から構成した。 6.従来の訪問看護実施群(対照群)と訪問看護プログラム実施群(介入群)の2群に分けた比較研究をスタートさせた。 結果:協力ステーションは19カ所確保したが、退院・退所1ケ月以内に訪問看護を利用する者は非常に少なく、条件を満たす対象者は6名。対照群3名の6ケ月間の観察をした結果:重度の後遺症がある脳血管障害者は3ケ月で廃用症候群が進行した。FIMとうつ尺度は変化しなかった。Euro QOLは3ケ月で高くなり、介護負担は軽減した。介入群はスタートしたばかりである。今後、1年間継続観察し各群を比較検討する。
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