3年間の研究期間の最終年にあたる20年度は、これまで取り組んできた質的および量的調査の分析を深め、定年退職者の類型化および定年退職者に関するアクティヴィティ尺度開発を行った。 また、定年退職者への介入方法の開発については、19年度から男性定年退職者講座を開催しており、20年度はその効果について検証した。さらに、定年退職者の地域活動への参加促進のための支援の効果の検証および地域保健活動における定年退職者への介入方法のプロトコール作成に取り組み、地域保健活動における定年退職者支援のあり方について提案する予定である。 これらの調査および介入研究に関連して、イギリスにおける定年退職者支援プログラムに関する調査を行った。この調査のまとめと平行して日本における定年退職者ボランティアの教育方法についての調査を行った。検討の結果、日本の定年退職者への支援方法には大きく3つのタイプがあることがわかった。引き続き、高齢者保健福祉施策担当者らとともに、定年退職者への社会活動の支援方法について検討する予定である。 これら一連のまとめをもとに20年度は、これまでの質的・量的調査の一連の調査活動を総括し、老年社会学における定年退職者研究の新たな知見を見いだすことに力を注いだ。今後は、これらの成果をまとめ、公表するための準備を進めている。 高齢化のさらなる進展とともに、「2007年問題」といった団塊の世代の退職が社会的関心事となったことから、地域保健活動においても退職者の健康づくりのための支援体制は喫緊の課題といえよう。
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