前年度で実施した調査項目を基に調査票を作成し倫理審査委員会の承認を得て、特別養護老人ホームにおける終末期ケア調査を実施した。調査の了解が得られた0府下41施設の看護師と介護福祉士を対象に919部送付し358部の回収(39.0%)を得、看護師84名、介護福祉士255名を分析し、次の結果を得た。 1)特別養護老人ホームで行われている終末期ケアは因子分析(最尤法、プロマックス回転)により次の4つに分けられた。第1因子「医療処置に関するケア」第2因子「利用者の意思の尊重と家族への説明に関するケア」第3因子「生活支援に関するケア」第4因子「病状把握と看取りに関するケア」である。 2)終末期ケアに対する役割認識と実施度は、第1因子と第4因子は、看護師のほうが介護福祉士よりも有意に高く、実施度も高かった。第3因子は介護福祉士のほうが役割意識・実施度ともに有意に高かった。第4因子は両職種間に差異がなかった。 3)終末期ケアについての認識。終末期ケア方針の確認は家族と65%が行っており、家族に本人を加えて行っているのは22.6%であった。その確認時期は入所時には43.7%が行い、病状悪化時に78.0%が実施していた。 4)施設で看取りを行うことに対する認識。施設で終末期ケアを行うことについての意見を自由記述で求めた。看護師に負担を強調する意見が多く、介護福祉士は看取り経験を日々の業務とは異なる困難な業務であるが、やりがいがある業務であると認知していた。 以上から、特別養護老人ホームではおおむね終末期ケアにおける看護師と介護福祉士の業務分担はなされており、対象への配慮や家族への説明は両職種がともに行っていることが示された。しかし、終末期ケアに対する方針の確認を、本人を含めて行っている割合が低いことから、利用者本人の意思決定の確認や確認の場への参加あるいは表現が今後の課題として挙げられた。
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