研究概要 |
平成13年度に沖縄県に居住する55〜84歳の住民を対象としたアンケート調査(コホート集団、解析対象:2,160人)と平成18年度に実施したアンケート調査(サブコホート集団、解析対象518人、60〜84歳)とを比較した。両群間の有意差は、年齢4.4歳(95%CI:4.3-4.5)と喫煙期間(95%CI:0.3-6.7)に認められた。慢性閉塞性肺疾患関連症状では有意差は認められなかったが、平成13年度調査では症状がなく平成18年度調査において新たに症状ありと回答のあった割合は、「かぜの時に咳をする」(21.8%)、「かぜの時に痰やぜいぜいする」(15.0%)、「坂を登る時に息をするのが難しい」(8.4%)などであった。5年間で呼吸器の状態の悪化があったものと推察された。平成18年度調査において医師の診断があった者は、慢性気管支炎23人(4.5%)で、肺気腫10人(2.05%)であり、この5年間で肺気腫6人が新たに追加された。慢性閉塞性肺疾患対象調査では、3病院の患者19人(男性18人、女性1人)から回答が得られ、解析の対象者とした。対象者の年齢(平均値±SD)は、73.4±6.2歳(範囲:61-84)であった。診断別内訳は、肺気腫18人(94.2%)、慢性気管支炎1人(5.3%)であった。喫煙歴は、現在喫煙している者6人(31.4%)、やめた者13人(68.4%)であった。喫煙量の指標であるブリンクマン係数(BI)の平均値は、現在喫煙している者BI:1,310(範囲:360-3,720)、やめた者BI:1,595(範囲:290-2,820)であり、喫煙経験のない者は含まれていなかった。BIは600以上が慢性閉塞性肺疾患のリスク要因とされており、現在喫煙している者、やめた者のいずれにも、喫煙は当該疾患の発生要因であったことが示唆された。
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