研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、看護施設における後期高齢糖尿病患者の自己管理支援について明らかにすることである。平成18年度の研究計画は、看護施設の看護者を対象に、後期高齢糖尿病患者の自己管理の支援の実際(高齢者のセルフケア上の問題、その支援状況、支援上の困難)について面接調査票による半構成的な面接調査、データの整理・分析、分析結果を踏まえ、専門家会議の準備であった。介護老人保健施設、介護老人福祉施設、訪問看護ステーション、糖尿病外来などの看護施設に勤務する17人の看護者から29人の後期高齢糖尿病患者の自己管理支援についてデータを整理し分析した。後期高齢糖尿病患者29人中、認知症12人(41.4%)、家族構成は単身世帯4人(13.8%)、老人世帯12人(41.4%)、糖尿病性腎症や網膜症などの合併症あり10人(34.5%)、糖尿病管理状況はインシュリン15人(51.7%)、内服10人(34.5%)であった。単身世帯で腎症や網膜症の合併症を持ち、インシュリン使用をしている事例2例、認知症の単身世帯で内服の事例1例が含まれていた。高齢者のセルフケア上の問題は、「本人または家族が糖尿病の食事管理上の知識が乏しい」、「難聴や認知症により指導内容が十分に理解できない」、「単身世帯の認知症で自己管理が出来ない」、「介護者任せ」、「インシュリンと食事摂取との調整が困難」、「インシュリンや服薬の忘れ」、「膝関節炎や網膜症で運動制限」、「いつ死んでも良いとあきらめ」、「専門外主治医の糖尿病治療への協力の困難性」、「医師のあきらめ」がみいだされた。その支援状況は、「本人・家族への食事管理・服薬・インシュリンの工夫への支援」、「配食サービス・訪問看護・デイサービス・ショートステイ等の社会サービスの利用促進」、「チームケアに向けた支援」、「低血糖予防の工夫への支援」であった。支援上の困難は、「症状にあった主治医捜し」、「人員不足による個別ケアの困難性、「ケアスタッフの糖尿病知識の乏しさ」、「本人や家族に食事管理の重要性が理解できない」であった。以上の結果に基づき専門家会議の開催準備を行った。