高齢化が進展するわが国では、団塊の世代の高齢期への移行に伴い、前期高齢者人口の急増が見込まれている。高齢者のQuality of life(生活の質・人生の質)の向上を支援する地域保健活動として、特に配偶者との死別後に独居への移行が増加している前期高齢女性を対象とした、日常生活における地域社会に根ざした主体的な健康増進の支援を検討する必要が考えられる。 そこで本研究では、前期高齢女性の多面的側面からなる健康のうち、社会的側面に焦点をあてる。更に社会関係のうち、身近な地域社会における日常的な近隣他者との交流関係に着目する。日常生活において、物理的な近さや情緒的な親しみから、前期高齢女性自身が身近であると感じる同年代の同性の近隣他者との相互行為から継続的に取り交わす『気遣い合い的日常交流』を活用し、主体的健康増進プログラムを開発することをめざす。
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