最終年度にあたる本年は、前年度の全国訪問看護ステーション(以後ステーションとする)の管理者を対象としたナレッジマネジメント実態調査の結果を踏まえ、ステーションにおけるナレッジ・リーダー育成プログラムの見直しと再立案化を目標として取り組んだ。実態調査では7割の管理者がスタッフ教育を担ってはいるものの、特にリーダー層のスタッフ育成のための特別な教育計画やプログラムに基づいた教育を実施しているステーションは1割にも満たなかった。自由記述回答においては、日々のサービス提供に追われ教育やケア改善には手が回らないことの不満や疲弊が多く記述され厳しい現状が伺えた。そのような中、現在、小規模ステーションの大規模化、ネットワーク化によって訪問看護サービスの一元化、効率化を図り、ステーションの強化やケアの質向上を目指すモデル事業が行われている。これらの現状から、本育成プログラムにおいても、一ステーション内の教育プログラムの展開は困難と判断し、地域のステーション間の連携や協働による教育システムを構築し、スタッフの現任教育もステーション間の共同によって展開することが現実的であり効果的と考えた。そのため、研究計画を見直し、地域のステーション問の教育連携の可能性について管理者らへのヒヤリング、各ステーションのスタッフ現任教育の教育計画と現任教育の実態把握、ステーションへのリーダーシップの役割と内容について管理者、スタッフへのインタビュー調査を実施し、現在分析中である。ステーションのケア推進者として期待するナレッジ・リーダー育成プログラムの開発が当初の計画であったが、実態を踏まえ見直し、まずは教育の基地として地域のステーション間の教育連携化への実践的研究となった。今後、引き続き地域連携教育システムの構築の過程を記述しリーダー層の教育プログラムの実施に発展させたいと考える。
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