都市部地域において地域住民と大学との協働による転倒予防、認知症予防プログラムを開発、実践、さらに、評価し、より効果的なプログラムを検討することを目的とした研究である。地域住民の介護予防に関する実態・ニーズの解明、転倒予防教室の実施と効果評価、認知症予防教室の実施と効果評価の3つを主な内容とする。 21年度は、以下の活動を実施して、認知症、転倒予防のプログラム作成、実施、評価に関する研究を継続した。 1. 転倒予防教室の実施と効果評価:1回10~15名の住民に対して、運動、講義、フットケアなどからなる2時間程度のプログラムを1週間間隔で4回提供し、さらに、約2ヶ月後にフォローアップとして同様のプログラムを実施した。講義内容として独自に作成した住宅模型による危険環境の説明を含むプログラムを考案し、転倒発生、筋力や歩行能力などの身体的要素、満足度やうつ状態などの精神的要素、人間関係などの社会的要素に対する効果について、前後比較、模型を用いた講義を実施しなかった対照群との比較から分析した。模型講義実施群では転倒件数が少ない等の効果が認められ、その結果を学会、論文に発表した。 2. 認知症予防教室の実施:地域の高齢者を対象に、ミニ介護講座、健康講座、種々のリクレーションなどからなるサービスを毎週1回、ほぼ1年間提供した。知的機能、精神的健康度などについて前後比較をしたところ、知的機能の維持、精神的健康度の向上などの効果が認められた。この結果から認知症予防に有効なプログラムの作成について検討を進めている。
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