3年間の研究計画に沿って、3年目は脳卒中退院後余り日を経ずして施設入所した療養者にインタビュー調査を 実施した2年目の調査結果の分析とまとめを行った。 首都圏の施設療養者調査から以下のことが明らかになった。 1.施設入所者の入所前の入院期間は平均217日で、脳血管疾患の平均在院日数105.3日より長く、入所までの 期間の0日が45人(86.5%)を占めた。 2.入院中に施設移行の選択をしたのは在宅へ戻った場合の不可能や困難を予測した結果と推察された。 3.施設入所者の約半数はうつ傾向があると回答し、うつ傾向の本人が退院準備意欲のないまま、本人以外の意 向を優先して施設移行したと推測された。 4.退院後に予測する困難や退院準備意欲のある者ほど退院前の心配のある者が多かったが、退院準備意欲のあ る者に退院準備実施が多いわけではなかった。 5.本入と家族の退院前の心配の有無に有意な差はなかったが、心配内容には相違がみられた。 以上から施設待ちが入院期間の長期化を招き、退院と同日の施設入所の開始が示された。うつ傾向の本人の準 備意欲のない中で、在宅療養の不可能や困難を予測して施設入所の選択をしており、本人以外の意向が働いていることが懸念された。入院中に施設移行を決定することが、本人や家族の退院準備を阻止していると推測できた。退院後施設移行した後も本人の主体的な療養生活を実現するために、本人と家族の退院前の心配内容は相違する ことから、本人の主体性を尊重した退院後生活の話し合いの仕組みつくりと入院中の移行場所の決定は慎重にすることの必要性が示唆された。
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