研究課題
基盤研究(C)
今年度は「寝返り推奨パターン予測のための判別式」を精選し、コンピュータ上で起動するアセスメントツールを完成させることを目的として、以下の活動を行った。1.虚弱高齢者の寝返り動作の再記述療養型病床、整形外科病棟において(1)年齢による衰弱、(2)麻痺による運動制限、(3)整形外科的治療上の制約、(4)脳神経外科的疾患による意識障害など条件別に被験者を設定し、虚弱高齢者(N=32)の寝返り動作の傾向と身体的特徴の観察を試みた。虚弱高齢者は下肢型を好まず、上肢型、膝立型、複合型を選ぶ傾向にあった。寝返り動作の可否および寝返りパターンは意識レベル、恐怖心、痛み、創、治療上の制約、浮腫、腫脹、手のしびれ・痛み、障害物、不適切な方向の選択によって左右されることが示唆された。2.推奨パターン予測のための判別式の作成身体情報として「寝返ろうとする意志(意識レベル、恐怖心、痛み)」「膝屈曲制限(創1治療上の制約)」「筋力不足(浮腫、腫脹)」「手の補助の欠如(手のしびれ・痛み)」などが推奨パターン予測のための変数とし、判別式を修正したが信頼性、妥当性の検証が次年度の課題となった。なお、寝返り動作遂行の前提条件として「障害物」、「不適切な方向の選択」は事前に調整しておくことが望ましい。3.その他1)寝返り動作指導用ビデオの作成アセスメントツールを使用した後、寝返りを支援するための医療従事者への説明用ビデオ教材を作成した。2)高齢者医療福祉に関する情報収集国民の自立意識が強いとされる米国(ミシガン州)の実情を視察した。活動面の自立度が生活の安寧に大きく影響することを再確認した。視察で得た情報は筋力維持・増強のための運動プログラムの考案にむけて活用していきたい。