研究概要 |
目的:平成20年度は,グループホームにおける終末期ケアの研修プログラムの有効性を受講者の「終末期ケアの認識」の観点から検証した. 結果:(1)課題レポートの内容分析:職員は,今まで行ってきたその人らしい生活を支援していく延長線上に看取りがあることを確認し「終末期ケアの概念の再構築」をしていた.また,入居時から利用者と家族の希望を聞き,共有するためには「職員間の話し合い」や「自然な死について話し合う」ことの必要性を見出していた.職員は,終末期ケアの必要性を感じながらも,その取り組みについて課題を残していたが,家族支援や医療との連携など取り組むべき具体的な行動目標も明らかになった.認知症の終末期ケアに対するマニュアル化の推進と事例検討会の実施,継続した職員の支援すること必要性が明らかになった.(2)終末期ケアに対する認識の変化:研修会前,研修会7日後・3か月後・6か月後にターミナルケア態度尺度日本語版(FATCOD-B-J)を用いて調査した.研修会受講は[死にゆく患者のケアへの恐怖]の認識の変化に影響をもたらしているが,一時的なものであり,経験を積むとともに死が現実的になり「死への恐怖」の認識がさらに高まり,「家族への配慮」「家族の心理的支援」「家族の役割」の認識については変化を認めず,職員の認識に影響していないことが明らかとなった.職員の「死への恐怖」を緩衝するために,グループホーム内での3か月ごとの継続的な出張研修会や他ホームとの事例検討会の必要性が示唆された.(3)FGI:4フォーカスグループに対して,インタビュー調査した.職員は,研修会後さらに,医療や訪問看護との連携に課題があることが明らかになった. 昨年度の研究成果の報告:研修会受講者の終末期ケアに対する認識等,8演題の学会発表を終えた. 報告書の作成:2009年3月に平成18年度〜平成20年度の研究成果報告書を作成し,発刊した.
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