研究分担者 |
林 慎一郎 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (20238108)
西川 まり子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80412344)
白木 智子 広島国際大学, 看護学部, 講師 (80389098)
糠信 憲明 広島国際大学, 看護学部, 講師 (20412348)
山崎 登志子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (50282025)
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研究概要 |
前年度の高齢者の肌の老化と生活習慣の実態調査の結果を参考に,今年度はエイジング、メイクアップの演習と手法の開発に取り組んだ。専門家による肌の老化の基礎知識と加齢の変化の講義の後,演習ではアンチエイジングとエイジングメイクを比較しながら,エイジング、メイクの進め方,工夫のガイドブックを作成し,プロメイク群と学生によるセルフメイク群に分けて体験を行った。メイク後のイメージングルームで自己の表情,姿勢を鏡に映し客観的観察した結果,「鏡を見たくない,気分が落ち込む,外出したくない」などのネガティブな感情だけでなく,「将来の姿が想像できた,変化する姿が楽しみ,高齢者が気になる部分が分かった,表情が豊かになった,祖母に近づいた気がする」などポジィティブな老化の体験感情を獲得している。更にエイジングゲーム後に「老年期の喪失体験には抵抗や葛藤はあるが,配偶者と共に自分らしく生きる」と回答した。セルフメイク群の「老性の自覚」では「心身の不調,」が「老年期の適応」では「葛藤はあるが受け入れられる」「自分らしく生きようと思った」が高かった。セルフメイク群では「積極性の低下」に有意な変化(p<.05)が認められた。プロメイク体験ではシミ,シワ,クスミなど高齢者が他者に見られたくない部分を人工的に作り出すことが理解できる。しかし,学生にとって老年期は遠い存在であり,加齢の知識を得るだけでは容易に受け容れがたい。セルフメイクによって自分でシワやシミを描き,衣装を着けることで老化のリアリティが増し,年老いた自分を想像することができる。セルフメイク法は学生の「老性の自覚と適応体験」を促進させるメイク技法であることが確認できた。学生が老化の自己像を実現するセルフメイクに必要なメイクのポイント,手順,道具の工夫ができた。
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