研究概要 |
久留米市のもの忘れ相談窓口は月1回の継続で毎回需要は高く,来談対象者のMMSEの平均は24.6点で軽度認知障害(MCI)レベルも多く含んでいた。相談により,もの忘れの不安の軽減や受診推奨、介護予防、介護保険へつないでいくことができ,かかりつけ医や専門医へ情報提供を行うなど,連携に努めるようにし,早期対応につながっている。利用後のアンケートでも利用者の満足が得られていた。 市民および専門職者に対し,認知症予防のリーフレットを作成し,相談利用者,市および地域包括支援センター,研修会参加者に配布し,認知症への関心を高め,早期対応の啓発につなげている。専門職者には,相談機能拡大のため,もの忘れ相談のマニュアルを作成し,研修会の際に配布し活用を促していった。 今年度から久留米大学高次脳疾患研究所と共同企画,市の後援により,「ものわすれ予防検診」を実施した。介護予防事業参加者や地域高齢者に計4回,86名の検診を行った。MCIに注目した検診であり,探索的眼球運動検査を加え,健康講話,問診票,剛SE, HDS-R,相談コーナー等を含む。結果は,健常とMCIの疑い,認知症の疑いの3区分に分類し,各自へ報告した。一部,地域包括支援センターの協力を得られ,連携・サポート体制へつながる糸口となり,検討を続けている。参加者の認知症に対する啓発にもつながり,かつ早期発見、早期対応となった。これらのことは,平成19年度の日本老年看護学会で発表した。 平成20年1月には,本学科主催,市の後援によるケア専門職種に,2目間の認知症ケアマネジメント研修会を実施した。ケアマネジャー、看護師、介護福祉士等146名と109名の参加者があり,認知症ケアマネジメントの実際とスキル,MCI、知症の診断、治療,医療、福祉の連携の必要性の理解を深め,地域包括支援センターの事例のスーパー、ビジョンでは,地域支援体制の充実の必要性が共通理解できた。
|