研究概要 |
本研究は、特定疾患としての在宅療養中の難病患者に対して、2005年4月〜2007年3月までの3年間で難病連54団体、31万人中全国5都道府県(北海道・新潟・静岡・三重・兵庫)から、1,500名を抽出し、災害時に必要とされる避難状況等の実態調査とその分析を行い、そこから難病患者自身の視点に立った災害マニュアルの作成をめざす研究である。 1年目は、準備的研究として、文献整理や難病患者へのインタビューを行った。 またALS協会の協力を得て、ALS患者へのアンケート調査を行った。 1.人工呼吸器装着中の難病患者で、地域の自主防災組織への事前連絡を行っている人は17.4%と少なかった。 2.薬やケアに必要な消耗品を備蓄している人は39.5%であった。 3.災害時の移動について、援助者の不足から不安に思っている人が多い。 4.介護者が一人だけで、介護者自身の健康の不安も大きい。 5.施設に入所できず日常生活を送ることで精一杯で行政による介護用品等援助を希望する人も多い。 など、ALS患者・家族の現状が明らかになった。しかし多くの施設では慢性的な看護・介護職員不足が指摘され、重度のALS患者のケアをする体制に至っていないことなどがあげられる。 また備蓄物品について、災害時のことまで考えられない人が多いため、何をどのようにどのくらい準備すればよいのか、患者会の協力を得ながら、難病患者・家族主体で考えていく機会をつくっていくことが次年度の課題となった。
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