研究概要 |
高齢者の排尿障害に対して,現状では泌尿器科あるいは婦人科外来で対応しているが,まだ効果的とはいえない現状である.ここでは当事者本人がアクセスしやすい「さわやか(排尿)相談室」を導入し,本人・家族が抱えている排尿問題を,メンタルも含めた身体状態,生活状況そして居住環境を把握できる面談ケアを行なった.そのことより排尿症状の改善,問題解決が可能となった. 3年間の臨床研究の成果として,面談に必要な「高齢者排尿問題解決問診表(老研・大竹版)」を開発した.また生活改善評価表として高齢者が記入しやすい冊子「さわやか日誌(排尿日誌)」を作成した.これらを使用しながら行った285名の面談ケアは効果的であった.3名を除き,排尿症状の改善・完治,生活レベルの向上が見られた,それは面談による精神的な安定が症状改善に繋がったという評価である. 高齢者の排尿問題解決に個別の面談ケアという手法が開発されたわけであるが,さらに排尿問題の所在である原因追求の基礎研究と効果的なケア・治療方法の研究開発が必要であると考えるに至った.また、本排尿ケアシステムで排尿問題が解決しなかった認知症患者に対して,トイレ自立を促すケアプランを作成し排尿改善の観察を行っているが,今後の研究課題が残されている.
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