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2006 年度 実績報告書

家族性若年発症糖尿病の症状発症の分子メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 18599001
研究種目

特別研究促進費

研究機関山形大学

研究代表者

北中 幸子  山形大学, 医学部, 非常勤講師 (30431638)

研究分担者 沼倉 周彦  山形大学, 医学部, 助手 (00400549)
キーワードHNF-1β / 糖尿病 / インスリン / IGF-I / MRP2 / 転写活性 / 子宮内発育不全 / 胆汁うっ滞
研究概要

家族性若年発症糖尿病の原因であるHNF-1β異常症には、糖尿病以外にも多様な症状があることが報告されてきたが、その発症メカニズムは不明である。本研究では、HNF-1β異常によっておこる糖尿病やその他の多様な症状の発症メカニズムを、分子生物学的に解析することを目的とした。まず、これまでのHNF-1β異常症報告例と自験例の症状を詳細に検討し、HNF-1β異常に関連すると考えられる症状を選定した。今回は、多くの症例で認められた糖尿病、一部の症例に認められた胎内発育不全と胆汁うっ滞の発症メカニズムについて解析することとした。これら3つの症状に関連する下流候補遺伝子より選別し、プロモーターにHNF-1 siteをもつ、インスリン、insulin-like growth factor-I(IGF-I)、multidrug resistance protein 2(MRP2)を選択した。ヒト生体内での作用に近い系でみるため、これらのヒト遺伝子のプロモーターを含むレポータープラスミドを作成し、実際にHNF-1βの転写活性を検討した。その結果、HNF-1βの転写活性が不明であったヒトIGF-IとMRP2において、HNF-1βの転写活性があることが判明した。生体内で、HNF-1βはHNF-1αとヘテロダイマーをとり標的遺伝子の転写を調節する因子であることから、さらにHNF-1α存在下でのHNF-1βの作用を検討した。その結果、ヒトインスリンプロモーターでは、HNF-1βとHNF-1α単独より、両者の協調作用によって転写活性が顕著に増大することが判明した。つぎに、HNF-1βの変異体の作用を解析した。変異体としては、先の3つの症状が認められたH153N変異体と、既報の2種類の変異体を用いて解析した。その結果、ヒトインスリンプロモーターでは、いずれのHNF-1β変異体も、HNF-1αとの協調作用が全く認められないことが判明した。その結果、すべての症例で糖尿病を発症しているのではないかと考えられた。ヒトIGF-IとMRP2プロモーターでは、H153N変異体に、変異特異的なHNF-1α転写抑制作用が認められた。このような変異体特有の標的遺伝子転写制御の異常により、子宮内発育不全と胆汁うっ滞が発症したと考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A novel compound heterozygous mutation in the thyroglobulin gene resulting in congenital goitrous hypothyroidism with high serum triiodothyronine levels.2006

    • 著者名/発表者名
      Kitanaka S, et al.
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics 51

      ページ: 379-382

  • [雑誌論文] Haplotype analysis reveals founder effects of thyroglobulin gene mutations C1058R and C1977S in Japan.2006

    • 著者名/発表者名
      Hishinuma A, Kitanaka S, et al.
    • 雑誌名

      The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 91

      ページ: 3100-3104

  • [雑誌論文] Genetic and enzymatic analysis for two Japanese patients with idiopathic infantile arterial calcification.2006

    • 著者名/発表者名
      Numakura C, et al.
    • 雑誌名

      J Bone Miner Metab 24

      ページ: 48-52

  • [図書] Annual Review 腎臓 20072007

    • 著者名/発表者名
      北中幸子
    • 総ページ数
      308
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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