研究課題/領域番号 |
18599002
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研究種目 |
特別研究促進費
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 弘明 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (40432257)
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研究分担者 |
祖父江 元 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20148315)
田中 章景 名古屋大学, 大学院医学系研究科, COE特任助教授 (30378012)
船越 洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40273685)
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キーワード | 肝細胞増殖因子 / 球脊髄性筋萎縮症 / トランスジェニックマウス / ダブルトランスジェニックマウス / アンドロゲン受容体 |
研究概要 |
肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor : HGF)は、初代培養肝細胞の増殖活性を指標に肝細胞増殖因子として我国において精製・クローニングされた増殖因子であるが、その後の研究発展によりHGFが多様な細胞を標的とし、その増殖、細胞移動、分化、生存作用、さらには器官形成・血管新生促進作用を持つことが明らかとなってきている。球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子内のCAGリピートの異常延長により、運動ニューロンなどが特異的に変性死に陥るポリグルタミン病の一つであり、運動ニューロンが変性する。我々は、HGF高発現の治療効果を検討するために、HGFを高発現するトランスジェニックマウスとSBMAマウスとのダブルトランスジェニックマウスを作成することにより、HGFを高発現させ、神経栄養因子を用いた治療法開発の可能性を検討した。マウスモデルは、chicken β-actinプロモーターの調節下で異常延長したCAGリピートをもつヒトの全長のAR遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(SBMAマウス)を用いた。SBMAマウスは、表現形に性差があり、進行性の運動障害を来たす。HGF高発現の効果を、体重変化、生存率、Rotarod法(一定の速度で回転する棒の上に,落下せずにつかまっていられる時間を測定)、Cage activity測定法(24時間のマウスの動作の回数の測定)、の4つのパラメーターを用いて解析した。HGF高発現により有意にマウスの運動機能、体重減少、生存率がすべて改善し、治療効果が認められた。HGFを高発現して治療効果を狙う試みが、SBMAモデルマウスで治療効果が確認できたことにより、この考え方をさらに広い範囲の神経変性疾患へ展開することが可能となってくると思われる。
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