平成18年度は、文献検討を行い調査のための基本的指針を立案した。また、調査の具体的な方針を検討するため、協力が得られる施設で勤務している看護師らとの勉強会を数回もち、施設の看護体制、教育体制についての確認を行った。 1.看護の技術の共有と創造が行われる場に関する国内外の研究論文レビューを行った。 知識創造理論は本研究への応用可能な理論であると考えられた。臨床現場の現状を記述していくなかで看護における組織学習の様相を概観できる可能性がある。 2.基本的指針としてのリサーチクエスションを立案した。 初期のリサーチクエスションとして、調査対象施設の看護師の探求する熟練技能とは何か、なぜ看護師らがそれを熟練技能とみなすのかを社会学的な観点から探求していくことに決定した。 3.調査の協力について施設との調整を行った。 調査に協力が得られる可能性のある施設の内諾を得た。さらに、看護師らとの勉強会を持ち調査に関する理解と、看護教育状況についての情報を得た。 施設内、特に小児病棟では看護師の研究・教育に関するモチベーションが高く、組織的に指導者育成にも力を入れていた。日本の臨床教育に関する先行研究では中堅看護師層への教育の手薄さが指摘されているが、そうした中、意図的に中堅看護師層への指導を強化しているという点で大変興味深い組織であると考えられた。 参与観察の時期はH19年度8月開始予定とし、研究計画書を作成した。 今後、次年度調査実施に向け、本大学および対象施設の倫理委員会にかける。審査を経て、研究計画書に従い予備的フィールドワークの後、本研究に入る。
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