前年度調査を踏まえ、中心市街地の望ましい土地利用の在り方と活性化に向けてどのようなあり方が望ましいのかを現地調査、統計調査等を用いて明らかにした。英国では、中心部の限られた地域で小売りを中心とした土地利用が都市計画によりコントロールされ、中心市街地活性化組織が消費動向を踏まえて事業者選定を行うものの、日本ではこうした土地利用コントロールおよび事業者選定がなわれていないことからも、市場と箱モノのサービスが連携していない結果となっていた。特に類似した用途が集積するケース、ヒヤリングからも御用聞き等の限定された人の移動の多いことも指摘され、必ずしも大型店による影響だけではないことが明らかとなった。また、郊外型大型店立地規制の成果と中心市街地での用途の確認がなされた。必ずしも全国チェーンの店舗だけで中心市街地が形成されていないこと、そのためには、活性化のための組織の役割の大きいことが確認された。一方で、日本では、中心市街地活性化の認定という新しい仕組みの上に進められているものの、指定面積が広がっていること、その多くが県庁所在地であることから、中小都市での活性化方法がまだ模索段階にあることが理解できた。一方で、市場との連動が小さいことから、中小都市でのあり方は依然困難な状況にあった。 こうした2年間の研究を踏まえ、今後の日本の中心市街地と郊外型開発の在り方は、高齢化を考えれば集約型都市構造が望ましいことから、米国型のTIFとBIDを組み合わせた開発の集約化と同時に、どのような業種・業態を入れていくかというマーケットとの連動、すなわち都市計画の仕組みを超えた取り組みが求められる。
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