研究課題
基盤研究(C)
日本国内で販売されている養殖・畜養マグロの水銀濃度とPCBなどの有機塩素系化合物の濃度を分析した。我が国の魚介類の総水銀の規制値は0.4ppmであり、原則としてこれより高濃度の総水銀を含むものは食品としての販売は禁止されている。しかし常に高濃度の水銀を蓄積しているマグロ類、サメ、鯨などはこの規制の適用除外となっている。一方PCBの規制値は0.5ppmである。日本の南西地域で行なわれているクロマグロの養殖は幼魚を2-3年間飼育したもので、小型のマグロ(30-50kg)である。これらの赤身肉に含まれている総水銀濃度は0.4ppmを超えるものは少なく、これはマグロの年齢(魚体の大きさ)を反映したものと思われる。養殖地域で比較すると南の地域で養殖したマグロほど総水銀濃度が高く、一番南の沖縄のマグロでは0.4ppmを超えるものが含まれていた。トロの部分の総水銀濃度は赤身に比べて低く、これはメチル水銀が脂肪に蓄積しにくいことが原因と思われる。これらの結果は我々が既に報告している鯨類の水銀汚染の結果と一致している。PCBなどの脂溶性化合物は赤身よりトロに高濃度に蓄積し、トロとして販売されていたもの大部分は0.5ppmを超えていた。北の地域で養殖したマグロほどPCB濃度が高かったが、PCB濃度を脂肪量当りで比較した場合には一定の地域差が認められなかった。地域差の原因として北の地域のマグロほど脂肪量が多いことが考えられる。現在、DDTの代謝物であるDDEとトランスノナクロールの分析も行ない、その結果を鯨類の結果と比較している。
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